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磯崎眠亀物語

  第五章 錦莞莚ついに完成

特許

「たか、もうだめだ。これ以上おまえや子どもに苦労をかけるわけにはいかぬ。」

打ちあげたつちで今にも織機を打ちこわそうとするのを妻のたかは押しとどめ、

「だんなさま、これまで辛抱したのですからもう一度思い直してくださいな。たかはどんなことでもいたします。」

 こうしてその年の5月、“広いところでい草を織ったあとでしめつける”やり方がうまくいき、研究をはじめて四年め、とうとう眠亀にとって忘れられぬ日がやってきたのです。

「たか、やったぞ。」

「万吉、財治郎、見ろ、このいむしろを。」

 上質のむしろが流れるように出てくる織機がついに完成しました。三人は抱き合って喜びました。天にものぼる心地です。

 これまでの苦労のようすを、明治40年の国定国語教科書にこう書いてあります。

 “失敗のうえにも失敗を重ね、赤貧洗うがごとし。(とてもまずしいこと)しかれども、少しも志たわめず、いよいよ勇気をふるって考案を続け…。“と。

  その後明治12年(1879)塩基性染色法を発明してい草に美しい色をつけ、さらに、もよう捜入機を発明して、実に美しく鮮やかな花むしろ(花莚)を作り あげたのです。眠亀の開拓精神はついに実を結びました。これぞまさしく、今日の郷土産業を代表する花莚“錦莞莚”完成のすがたなのです。

 

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第六章 実業家への道 −備中茶屋町今神戸−

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第四章 錦莞莚の発明を志す −失敗につぐ失敗−

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